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白山
思い立って、北陸の旅に行ってきました。
私にとても縁の深い人に、昔(江戸時代)、白山比咩神社の巫女さんだった人や、加賀の前田家の御殿医だった人がいるらしく、その周辺を訪ねてみたかったのです。
ということで、兼六園→白山比咩神社→中宮温泉→白山の麓→三国温泉→瀧谷寺→永平寺と巡って来ました。
●兼六園
ただ庭を散策することが、こんなに楽しいとは思いませんでした。さすが日本三名園の一つ。
私が訪れたときはカキツバタが満開、ツツジが終わりかけていました。何代もの加賀藩主により、長い年月をかけて形づくられてきた庭園は、四季折々に美しい花や紅葉、雪景色などを見せるのだろうと想像させてくれます。庭を愛でて心を和ませていた大名の姿が浮かびます。
なぜ、この庭園がこんなに心地いいのか考えてみました。それはきっと、隅々まで神経が行き届き、繊細に造られているからでしょう。
だからそのころの空気や景色、その時代の人たちの心や姿が見えるような気がして、自分がその時代にいたらと、想像をどんどんふくらませることができます。
普段私は生徒たちに、「演じるということは、その人が持っている何かを表現していくこと」と伝えています。全く知らないことや経験のないこと、自分が持ち合わせていないものを表現しようとすると、それは嘘になってしまいます。常に感性を研ぎ澄ましながら、色々なことを感じ記憶しそれを身に付けてはじめて、いざ演じる時にそれが表現となって実を結んでいくのです。
例えば兼六園に身を置くことで、そのときの記憶が残り、表現に繋がります。もし、貴方が何らかの表現者なら、一度は、こういう場に自分を置いて、この時代の空気を感じてみるのは決して無駄にはならないと思いますよ。
そんな記憶にとどめたい庭園でした。
<2012年6月17日 加瀬玲子>
● 白山比咩神社
旅の2日目は今回の一番の目的である、白山比咩神社と白山スーパー林道の入り口にある中宮温泉です。
白山比咩神社は霊峰白山を御神体とする全国白山神社の総本宮です。
お祭りしている神様は、菊理媛尊(くくりひめのみこと)。くくりひめ? 聞いたことがある名前だけど何だっけ? と思いだせずにいたところ、白山からの恵みの水は霊験あらたかであり、酒造りにも適していると読み、そうだ、有名なお酒の名前に菊理媛というのがあったっけ。と思い出したのでした。
白山比咩神社は、とても気持ちのいい神社でした。
何か特別な場所というのではなく、心の広い、いつでもだれでもいらっしゃいというような、自然の力と神様の力で私達を包み込んでくれるような、そんな場所でした。
途中で出会った父子連れが素直にこの気持ちの良い気を取り入れているのを見て、こちらもますます心地良い気に包まれました。
皆小さい頃は、その時に感じたことを素直に表現できると思っています。その子供(3歳くらいでしょうか)は表参道の、樹を愛で、湧き水に触れ、階段の苔や小さな草たちと戯れて、本堂へと歩いて行きました。
私も同じように、樹や湧き水、草たちに触れ、神社の杜の気をたっぷりと堪能しました。
<2012年7月19日 加瀬玲子>
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