感情イコール呼吸
なぜ表現者に呼吸法が必要なのか
表現において、呼吸にはたくさんの意味や役割があります。ひとつは、息を吐いて声帯に当て、声にすることです。息の吸い方や吐き方によって音程や音色が変わります。
もうひとつは感情イコール呼吸ということです。私たちは知らず知らずのうちに、気持ちで呼吸を使い分けているのです。大好きな人の前での呼吸と、嫌いな人の前での呼吸は、実は違うのです。そんな呼吸を本人や周りも感じて、あの人とは合う、合わない、と感じたりするのです。心と言葉が一致していないと感じるときも、これと同じです。言葉とは違う呼吸や、心のエネルギーを感じとっているのだと思います。
芝居や歌などで役を演じるということは、本当のあなた自身をさらけ出すのではありませんから、ともすると“嘘つき”になりかねません。感情イコール呼吸です。日常では、感情が呼吸の仕方を左右しているとしても、その逆もまた真なりで、呼吸で感情をコントロールすることもできるのです。そうすれば表現の場であなたは決して嘘つきにはなりません。その役柄としての呼吸、共演者や伴奏者との呼吸、お客さんとの呼吸。すべて大事です。常にそういう呼吸を感じながら表現していってください。
また、心を落ち着かせるのにも呼吸は大変有効です。呼吸が深くなると、むやみにあがりません。リラックスできると同時に、集中力も高まり、ほどよい緊張感が保て、本番での瞬発力がつきます。