日舞の身体の使い方
日本舞踊は身体をくねくね使う、と思ってらっしゃる方が多いのにはびっくりさせられます。加瀬メソッドでいう中心線が通っていて、支えがしっかりしていなければ、日本舞踊は踊れません。
日本舞踊を長年続けている方たちが、まるで勲章のように「腰を痛めた」「膝を痛めた」と言っているのをよく耳にします。壊すほど真面目に長年稽古したと言いたいのでしょうが、とんでもない。そう聞くたびに、それは身体の使い方が悪かったから長年の蓄積で壊れていったのよ、と言いたいのを我慢しています。加瀬メソッドでいう、「お腹・腰・脇」をしっかり使い、筋肉を回転で使えれば、壊す事なく稽古を続けられます。
日本舞踊での身体の使い方は、声を出すのと基本は全く同じです。加瀬メソッドでは、声は出そうとするのでなく結果として出るのです。日本舞踊も、手や脚を出すのではなく、体幹からの動きで結果として手や脚が出るのです。
ただし基本は同じですが、日本舞踊での身体の表現は役によって変わります。先ずは大きく分けて男形と女形の骨格の違いを知って下さい。その上で役の骨格だったらどう動くかを体現することで、役柄での身体表現が変わってくるのです。
日本舞踊は、実は体幹が大事だということを知ってください。一見すると柔らかそうな動きも、決してくねくねはしていません。体幹や骨格がしっかりしていればこそ、末端である手脚の表現が自由になり、細やかな動きに繋がっているのです。