辻井伸行さんのカーネギーホール
お正月に辻井伸行さんのカーネギーホールリサイタルをテレビで聴きました。
辻井さんの演奏の素晴らしさは私などが口にするのはおこがましいのですが、ピアノを音を愛しているのが伝わってきて、私を心地良い音楽の世界に連れて行ってくれました。客席で聴いているお客さんはさぞ心地良かったのではないでしょうか。
ただ、テレビでは、客席では知り得ない良さがありました。拍手の後袖に戻った辻井さんは「拍手に感動した」と泣いておられたのです。
自分の愛しているピアノを弾いている辻井さんは、決して人を感動させようと思って弾いているのではないと思います。本当に純粋な音に聴こえるのですから。その辻井さんの音を聴き、聴衆は感動をして拍手をし、その拍手に辻井さんは感動する。このお客さんとの連鎖が何とも素敵です。
ジャンルは全く違うのですが、私の生徒さんの一人、ロック歌手の森重樹一さんのライヴでもこれに近いものを感じました。
森重さんが思いっきり好きな歌を唄い、お客さんはそのエネルギーを貰ってまたステージに投げ返す。投げ返されたエネルギーをまたお客さんに投げる。あるときは思いっきり直球で、あるときは柔らかく。
そしてその中に感動が生まれる。決して森重さんも感動させようと思って舞台には立っていません。
私はよく聞く言葉「歌や芝居で人を感動させたい」というのは、奢り以外の何者でもないと思っています。自分が本当に好きで力を出しているときに、感動はお互いに生まれるものだと思うのです。
<2013年1月8日 加瀬玲子>
これは2013年のクリップです。終了した内容やリンク切れの場合はご容赦ください。