高野山 弘法大師御廟
今年も終わりに近づいて来ました。前回の掲載が正月のご挨拶だったほどに、今年もコロナ禍の中、スタジオと自宅を往復するおとなしい年でした。講座の問い合わせも頂いているのですが、なかなか再開に踏み切れないでいます。そんな中ですが、新型コロナ感染症流行の第7波と第8波の隙間に旅に出ました。
調べてみたら2019年11月のお伊勢参り以来3年ぶりの旅です。3年も旅をしていないなんて……。旅に出て、何かを感じ、吸収し、想像を膨らませて元気になって前に進む。そんな生活を送って来た私に、3年の旅のブランクはとても長かったような、あっと言う間だったような。旅は私にとって大切なもの。
ということで、高野山に行って参りました!
高野山は、平安時代に弘法大師空海さま(以下お大師さま)がお開きになった真言密教、日本仏教の聖地です。標高1000メートルの峰々に囲まれた小盆地に117のお寺が存在しています(金剛峯寺のサイトより)。昔は2000ほどのお寺があったそうです。わーびっくり。お大師さまは、こんな奥深い山の中に、女人も入れない俗界から切り離された修行の場を作られた。なぜここなの? お大師さまが今でもいらっしゃるという御廟は?
1日目:朝
快晴の朝、宿の玄関を出たらまずは呼吸。何て美味しい空気なんでしょう! ここはまだ麓の住宅街。アレルギーが多く、超寒がりの私に宿坊は無理。なので近くにスーパーマーケットがある麓の自炊のできる宿を選んだのですが、なのにこの空気。身体が喜んでいます。
さあ、出発です。多くの人たちが通る道ではなくて、国道371号線の山道を通ってまずは奥之院に向かいます。
弘法大師御衣干岩(おころもほしいわ)
国道371号線は、対向車が来たら、どちらかがバックしてすれ違える所まで移動しなければならないような細い道です。そんな道なので、人があまり入り込んでいなのか、山のエネルギーが沢山感じられます。そして、何とねらったわけではないのですが、紅葉真っ盛り!
この国道添いに、「弘法大師御衣干岩」という岩があります。お大師さまが唐から持ち帰った宝珠を山頂に埋めようと山道へ来られた時、俄の夕立。その時に濡れた衣を干されたという岩だそうです。
この御衣干岩に触れて「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」と御宝号を唱えてお願い事をすれば、一つだけ成就してくださるとの言い伝えがあると書いてあったので、一つお願いをしました。叶うかな。
その脇には、お大師さまの像、日切地蔵、そして大師の水。大師の水は沢山湧いており、親切にペットボトルまで置いてあって、自由に持ち帰れるとのこと、こちらもしっかり頂いて参りました。大師の水、美味しかったです。
訪れる人も少なそうな、あまり知られていない「弘法大師御衣干岩」。こちらの道を選んで良かった。
奥之院・弘法大師御廟(ごびょう)
今回の旅の最大目的、奥の院です。参道には、名だたる武将や著名な方々のお墓が続きます。ちょっとびっくりしたのは、真言宗なのに、法然や親鸞などの他の宗派のお墓も存在すること。でも、私はお墓見物に来たわけではないので、ひたすら「弘法大師御廟」を目指します。
御廟はお大師さまが入定なさった場所。永遠の瞑想に入ったお大師さまは、今もそこに生きて人々のために瞑想を続けていらっしゃると信じられています。1日に2回、お食事が運ばれます。1200年間絶えることなく、続いているそうです。
私たちは御廟の中に入ることは許されません。外からのお参りです。御廟橋から先を一通り歩いて御廟にも手を合わせたのですが、何かすっきりしません。忘れ物をしたような気分です。
もう一度、御廟に行ってみようと思い、再度御廟の前に行きました。1度目には感じなかった、離れがたい身が引き締まるような想いに駆られ、思わず般若心経を唱えました。自然とそんな気持ちにさせられる場所です。最後にはありがとうございます。これからもお守りください。そう、心で唱えて御廟を後にしました。
「燈籠堂(とうろうどう)」を見て、「頌徳殿(しょうとくでん)」でお茶を頂いて一休み。頌徳殿では、温かいお茶を無料で頂くことが出来ました。身体も温まりましたし、御廟での体験を振り返りながら、気持ちを次に向けるのにとっても良かったです。真言密教はおもてなしの心が宿っているのですね。これもお大師さまのお教えなのでしょうか。
<2022年11月21日 加瀬玲子>
これは2022年のクリップです。終了した内容やリンク切れの場合はご容赦ください。