北海道レポート 2日目:知床峠~羅臼
知床峠
道東2日目。ウトロは天気予報通りの曇り、時々小雨。オホーツク海の観光クルーズは翌3日目の天候に期待することにして、この日は知床峠を越えて南側の羅臼へ。羅臼で、昆布を堪能することもこの旅の大きな大きな目的のひとつです。
知床半島北側の斜里町から南側の羅臼町へ通じる、知床横断道路。今年(2017年)は、5月3日まで通行止め、5月5日までが部分開通、5月24日までは夜間規制、5月25日にやっと全日開通。そして10月の下旬にはもう通行止めになるという、1年のうち約5ヵ月しか通れない道路です。道路建設の大変さにも思いを馳せながらのドライブです……。
その知床横断道路、入ったとたんにエネルギーが変わるのを感じます。自然の素晴らしいエネルギーです。
草木が自由に存在していて人の規制が入らない、侵されていない、そんな自由な心地良いエネルギーです。知床は言わずと知れた世界遺産。この自然を守るということは後世に素晴らしい遺産を残すことだと実感できました。
知床峠の展望駐車場でクルマを駐めてみます。外気温はクルマの外気温計で1度! 峠は雲の中。まわりは何も見えません。柵も木々も凍り付いています。本当に寒い。クルマの外に出た瞬間に私も凍り付きそうでした。
峠を越えると、雲はだんだんと晴れてきました。太陽が燦燦と降り注いできます。でも後ろを見ると、やはり雲の中。半島の北と南とで、こんなにも天候が違うのかとびっくりしました。
途中、強い日差しの中、熊の湯温泉に寄ってみました。
そこでお会いしたおばさまは、「クルマで1時間くらいかかるけど、お湯が良いので毎週来てます」と仰っていました。心は動きましたが、今回は覗くだけでパスしました。
羅臼と昆布
横断道路を抜けて知床半島の南側を、半島の先のほうへクルマで行けるところまで行ってみます。そこでクルマを降りて、歩いて登山道の入り口を通り過ぎ、海岸をその少し先まで行ってみました。
真っ青な海の向こうに国後島が見えます。冬はこの海にも流氷が辿り着きます。観たいなあー、でも寒いだろうな(私、とても寒がり)。
余談ですが、この日、この登山道から入山した方が一人凍死したそうです。登山道の入り口はこんなに穏やかな天候なのに、6月の山はこの辺りではまだまだ冬山なのですね。
羅臼は漁の城下町だとか。ウトロの宿で聞いてきたお勧めのお店で海の幸の昼食。それからお土産やさんで羅臼昆布と鱈の干物などを爆買い! お土産やさんの天井には、広いスペースの端から端までの長~い昆布が展示してありました。昆布ってこんなに大きくて長いんだ! びっくり。
今回の旅の目的の一つが昆布を買うこと。とにかく昆布が大好きな私は、昆布が沢山採れる土地に来てみたかったのです。皆さん知ってますか? 利尻昆布は利尻島だけではなくて、北海道の北側の割と広い範囲の昆布を言うのだそうですが、羅臼昆布と言えば、この羅臼で採れた昆布だけだそうです。利尻や日高に比べて本当に狭いエリアで採れた昆布だけなのですね。しかも昔は八十八、今でも四十を超える工程で乾燥、熟成させる手間をかけているのだとか。だから美味しいんだ。私は今回初めて知りました。やはり何でも現地に行ってみなければ。
ここで、私と昆布との付き合いをちょっとお話しさせてください。
私は肉が一切食べられません。その分頑張って魚を食べるようにしています。頑張らないと食べられないのです。頑張らずに食べられるのは獲れたてだけ。それでも少しの量しか食べられません。そこで昆布の登場です。昆布締めにする、昆布を粉末にしてかけるなどをするだけでミラクルのようにいつもの倍は食すことができるのです。昆布にはアレルギーを抑制する力が絶対にあると信じています。
私は呼吸が深くなってきたころから、色々な食材が食べられなくなってきました。その代表が肉類です。逆に身体に必要な食材はそれまでよりももっと食べたくなりました。こちらの代表が、昆布やわかめなどの海草類。他の人からするとびっくりする量の海藻を私は毎日食べています。たぶん身体が必要としているからです。そんな、私の身体にとって大切な昆布の一大産地がどんなところなのか、訪れてみたかったのでした。
カムイワッカ湯の滝
昆布を堪能した後は、知床横断道路を通って半島の北側に戻りました。帰りも峠はやはり雲の中。こんなに天気も気温も違うものなんですね。
今度は半島の北側、やはり一般のクルマで行けるほぼ終点の、カムイワッカ湯の滝まで行ってみました。クルマが通れるのは毎年6月初旬から11月初旬頃まで、しかも8月はマイカー規制。レンタカーをドライブして行けるのはほんのわずかの時期だけです。
カムイワッカ湯の滝へは、山の中の細い道路を進みます。間違えようがない一本道なのですが、標識がないのでちょっと不安になります。山のエネルギーは知床横断道路ほど強烈ではないので、眠くなったりしません。でも、とても気持ちの良いエネルギーに包まれている感じです。そうなんです。私は、自然のエネルギーがとっても強いと起きていられなくなってしまうのです。まるで魂がどこかに持っていかれて気を失ってしまうような感覚です。知床横断道路では至る所で寝てしまいました。それも最高に心地良い眠りです。実は私はエネルギーの強さを、感覚と眠りで判断しています。
カムイワッカ湯の滝は、手を入れるとちょっとぬるいお湯でした。上流に行くと温度が上がっていくそうです(そりゃそうだ)。酸性度が強いので皮膚も弱い私は手を入れるだけ。カムイワッカとはアイヌ語で神の水という意味だそうです。神様は生物をこの水に住まわせなかった。そこに何か意味があったのかしら?
<2017年7月22日 加瀬玲子>
これは2017年のクリップです。終了した内容やリンク切れの場合はご容赦ください。