芝居には色々な世界がある
劇団の研究生になるのは、少なくともそこの芝居が好きだったり、座付き作家の戯曲や演出、所属の役者が好きで、自分の意思で選んで入って行くものだと思います。一方高校はほとんどの場合、自分の学力や校風で選んで入るためその学校の演劇部に入りたいというよりも、漠然と芝居がしたい、好きだという理由で演劇部にはいる生徒達が多いのではないでしょうか。
自分が意思を持って入団した劇団であっても、中に入ってみると思っていたものと違い、別の劇団を受け直す人達も山ほどいます。でも、学校の演劇部をやめてしまったら、後に残された高校生活の時間、芝居を作る世界から遠ざからなければなりません。そして、その演劇部がたまたま自分に合わなかったのではなく、演劇そのものがつまらないものだと思い込んでしまう可能性もあるのです。
高校の演劇部は、年齢も若く観劇の経験も浅い生徒達が、自分の好きな演劇が何であるかを3年間かけて探る場所のような気がします。
私の勝手な意見ですが、高校に限らず、学校は色々な知識や世界を見せてくれて、その中から自分が何が好きか、何を勉強している時が楽しいかを、探す場所だと思っています。ですから具体的に芝居でいえば、顧問の先生や一生徒の趣味だけで作品を選ばないで貰いたいと思います。生徒達には、芝居には色々な世界があることを知って欲しいのです。基礎的な稽古とは別に、作品選びは重要なことです。
<2004年2月2日 加瀬玲子>
これは2004年のクリップです。終了した内容やリンク切れの場合はご容赦ください。