吉川英治記念館
青梅御岳山の帰り道、吉川英治記念館を訪れました。ここがとにかく素晴らしかった。楽しかった。
私は大の吉川英治ファンで、現在は大長編の『新・平家物語』を読んでいます。初めて吉川英治さんの作品に出会ったのは20代の頃。『宮本武蔵』を読んであまりの面白さに他に何もできなくなり、これはまずいと思い、60歳になるまでは長編小説を封印していたくらいです。
記念館に入ると、目の前には素敵なお庭が。紅葉の紅が目に入ります。そしてせせらぎも。何と気持ちのいい空気なのでしょう。
展示館では、随分長い時間、直筆の原稿など貴重な資料を拝見し、堪能しました。ルビはご自身でふっていたのですね。また、ここでの暮らしなどを紹介した19分の映像や、たくさんのお写真や解説、「吾以外皆吾師」といった書などでは作家の人となりが偲ばれ、そんな人柄だったからあのような話が書けたのだと納得させられます。
NHKで放送された人形劇の平清盛も鎮座しておりました。この人形劇は本放送は知らなくて見逃してしまっていて、つい最近再放送されたのを観たのでした。まるで生きているかのような繊細な人形の動きや、丁寧に作られた映像に感激したばかりだったので、その精巧な人形にも暫し見入ってしまいました。
その後、書斎にしていたという離れになっている洋館を覗き、それから主屋にも上がらせてもらいました。『新・平家物語』はここで執筆されたのですね。筆を走らせていたと思われる座卓の前に座ると、正面に床の間、左を向くと先ほどのお庭を愛でることができます。すっかりその気分になり、主屋を出ると外はもう陽が落ちていました。
青梅御岳山で開放された後の吉川英治記念館、とにかく楽しかった。
<2024年12月4日 加瀬玲子>